
取れない埋没は“縫合糸”で決まる!アスフレックス糸のメリットや医師の評判を解説
目次
二重埋没法を検討するとき、「どのクリニックで、どの術式を選ぶか」に意識が向きがちですが、実は「どんな糸を使うか」が、仕上がりの美しさや持続性に大きく影響することをご存じでしょうか。
特に最近、「アスフレックス」という特別な糸の名前を耳にし、その効果や価値について気になっている方もいらっしゃるかもしれません。
結論からお伝えすると、埋没法で後悔しないためには、手術方法だけでなく「糸の素材」にまで目を向けることが、非常に大切になります。
この記事では、数ある埋没法の糸の中でも、特に注目される「アスフレックス糸」とは一体何なのか、従来の糸と何が違うのかを徹底的に比較・解説します!
- アスフレックス糸って何?
- 従来の糸(ナイロン・ポリプロピレン)との違いは?
- 3種類の糸それぞれのメリット・デメリットをまとめた比較表
- 後悔しないための、あなたに合った糸選びの基準!
01そもそも「アスフレックス」って何?
「アスフレックス」と聞いても、多くの方には馴染みのない言葉かもしれません。これは、二重埋没法で使われる縫合糸の一種で、その素材や特性から、近年美容医療の現場で大きな注目を集めている“最先端の縫合糸”です。
このセクションでは、まずアスフレックス糸がどのようなものなのか、その基本的な特徴から詳しく見ていきましょう!
心臓手術にも使われる「PVDF」という名の特殊素材!
アスフレックス糸の最大の特徴は、「PVDF(ポリフッ化ビニリデン)」という特殊素材で作られている点です。
このPVDFは、もともと人工血管の縫合など、常に体内に残り続けることを前提とした心臓血管外科手術のために開発されました。そのため、長期間にわたって強度を保つ「耐久性」はもちろん、体内で炎症や化膿などを起こしにくい優れた「安全性」を兼ね備えています。
「心臓手術にも耐える」という信頼性の高い実績があるからこそ、美容医療の分野でも「緩みにくく、トラブルの少ない埋没法」を実現する切り札として応用されているのです。
一般的な埋没法の糸との立ち位置の違い
二重埋没法で使われる糸には、アスフレックス以外にもいくつか種類があります。現在、主に使用されているのは以下の3つです。
- ナイロン糸
- ポリプロピレン糸
- PVDF(アスフレックス)糸
これらは材質が異なり、性能やコストにも大きな差があります。
一言でまとめると、性能と価格は「ナイロン < ポリプロピレン < アスフレックス」の順に高くなると考えていただくといいでしょう。
- ナイロン糸: 最も多くのクリニックで使われている標準的な糸。安価ですが、長期的な耐久性には懸念があります。
- ポリプロピレン糸: ナイロンの課題を改善したバランス型の糸で、多くのクリニックで採用されています。
- アスフレックス糸: 価格は最も高価ですが、耐久性、安全性、仕上がりの美しさなど、あらゆる面で最高品質を誇るハイエンドな糸です。
このように、埋没法の糸には明確なランクが存在します。次のセクションでは、それぞれの糸の長所と短所を、さらに詳しく比較していきましょう!
02ナイロン・ポリプロピレン・アスフレックスの比較
ここからは、埋没法で使われる主要な3種類の糸、「ナイロン」「ポリプロピレン」「アスフレックス」それぞれのメリット・デメリットを詳しく掘り下げていきます。ご自身の希望と照らし合わせながら、どの糸が最適かを見極めるための参考にしてください。
ナイロン糸
まずは、最も広く使われているナイロン糸です。
メリットは圧倒的な価格の安さ
ナイロン糸の最大のメリットは、何と言っても価格の安さです。
素材自体が廉価なため、施術費用を低く抑えることが可能です。リーズナブルなプランの多くは、このナイロン糸が使用されています。初めて埋没法を試す方や、とにかく初期費用を抑えたい方にとっては、魅力的な選択肢となりますね。
デメリット①:体内で劣化しやすく長持ちしにくい
一方で、ナイロン糸の最大の弱点は、体内で徐々に劣化してしまう「耐久性」にあります。
ナイロンは水分と反応して分解(加水分解)が進む性質があり、体内に長期間留置すると強度が低下していきます。もちろん埋没用の糸は溶けづらい性質のものではありますが、それでも数年単位で見ると糸が緩んだり、切れたりする可能性は他の素材に比べて高くなります。
多くのクリニックが「埋没法は永久でない(数年で取れる)」と説明する背景には、この糸の経年劣化の問題があるともいえます。
デメリット②:糸が硬めで違和感や「ポコつき」が出やすい
ナイロン糸は材質的にやや硬く、しなやかさに欠ける点もデメリットです。
糸が硬いとまぶたの自然なカーブに馴染みにくいため、術後にゴロゴロとした異物感や、動きの違和感につながることがあります。
また、皮膚の表面に糸の結び目がポコッと浮き出てしまうリスクも。特にまぶたが薄い方の場合、この「ポコつき」が目立ちやすく、「手術したことがバレるのが心配」という方には、あまり向かないかもしれません。
Topics:埋没がバレやすいのも“しなやかさ”が問題
「目元の整形をするとバレる…」という言葉、特に女性同士であればよく耳にするキーワードではないでしょうか。可愛くなりたい・美しくなりたいと思う女性の方ほど「自然な目元ライン」を知っている方が多いため、埋没法によって自然なラインや“しなやかさ”が失われることで「あの人の目元は整形では?」と気づきやすい傾向にあります。
逆に言えばこの“しなやかさ”を担保できれば、整形後の目元であるかどうかは分かりづらいものです。
そのためにはしなやかさをキープできる縫合糸の選択が必要だと私は考えています。
ポリプロピレン糸
次に、ナイロンの課題を改善したポリプロピレン糸について見ていきましょう。
メリット①:ナイロンより劣化しにくく強度も高い
ポリプロピレン糸は、ナイロンに比べて体内で劣化しにくく、長期間にわたって強度を維持できるのが大きなメリットです。手術後10ヶ月経っても90%以上の強度を保つというデータもあり、ナイロンよりも明らかに持続性が期待できます。「できるだけ長持ちさせたいけれど、費用は抑えたい」という方にとって、非常にバランスの取れた選択肢と言えるでしょう。
メリット②:医療現場での使用実績が豊富で安全
ポリプロピレンは、心臓血管外科をはじめとする様々な医療分野で長年使用されてきた実績があり、その安全性は確立されています。体内で異物反応を起こすリスクもナイロンよりさらに低く、アレルギーの心配もほとんどありません。
デメリット:アスフレックスと比べると性能は一歩譲る
バランスの取れたポリプロピレン糸ですが、後ほど解説する「アスフレックス糸」と比較すると、特に長期的な耐久性の面では一歩譲ります。ただし、すべての方にアスフレックス糸が最適というわけではなく、まぶたの状態などによってはポリプロピレン糸が選択されることもあります。
アスフレックス糸
最後にアスフレックス糸です。
メリット①:半永久ともいえる圧倒的な持続力
アスフレックス糸の最大の魅力は、その圧倒的な耐久性です。
上のグラフが示すように、9年後の強度残存率のデータを見ると、ポリプロピレンが約50%まで低下するのに対し、アスフレックスは90%以上という高い数値を維持します。
この驚異的な耐久性により、理論上は半永久的に二重ラインを保つことが期待できます。「緩んだらどうしよう…」という埋没法の最大の不安を、限りなくゼロに近づけてくれるのがアスフレックス糸なのです。過去に埋没が緩んで再手術を検討している方や、絶対に後悔したくない方にはこちらの糸の使用を推奨しています。
出典:『CROWNJUN|ASFLEX アスフレックス 美容外科・形成外科用』
メリット②:しなやかで自然な仕上がりと快適な付け心地
PVDF素材は、強度としなやかさを両立している点も大きな特長です。まぶたの自然な動きによくなじむため、術後のつっぱり感や違和感が少なく、快適な付け心地を実現します。
また、この優れたしなやかさによって結び目も硬くならず柔軟にフィットするため、ナイロン糸などで懸念された結び目の「ポコつき」のリスクが大幅に軽減され、誰にも気づかれないほど自然な仕上がりを目指せるのです。
メリット③:心臓外科レベルの安全性でトラブルのリスクが低い
アスフレックス糸の素材であるPVDFは、心臓の血管を縫い合わせる手術にも使われるほど、生体適合性が極めて高いのが特徴です。
もともと体内に長期間残ることを前提に開発された医療用の素材なので、異物反応による炎症や化膿といった術後トラブルのリスクを最小限に抑えられます。安全性を最優先したい方にとって、これ以上ない選択肢と言えるでしょう。
デメリット①:安心ではあるが、費用がやや高い
多くのメリットを持つアスフレックス糸ですが、最大のデメリットはその費用です。素材自体の価格が高いため、施術料金もナイロン糸を使用するプランに比べて高額になることがほとんど。基本的なプランでは安価なナイロン糸を使い、アスフレックス糸はより高品質なアップグレードプランとして案内されることが多いため、費用についてはカウンセリングでしっかり確認する必要があります。
デメリット②:扱っているクリニックがまだ少ない
アスフレックス糸は、全国的に見てもまだ導入しているクリニックが限られているのが現状です。比較的新しい素材のため、医師の習熟度にも差がある可能性も。
ご希望の場合は、クリニックの導入実績などをしっかり確認することが大切です。
当クリニックではアスフレックスを標準採用!
近年、アスフレックスを採用するクリニックも増えてきましたが、そのほとんどが「オプション」であり、ナイロン糸からの追加費用になるケースがほとんどです。
私は美容業界に入る以前にさまざまな医療科に従事してきましたので、アスフレックスの安全性はもちろん、採用すべきメリット・デメリットまで触れてきました。それらを踏まえて、お客様が心から「可愛くなりたい・美しくなりたい」と思うのであれば、アスフレックスなどの高級糸をむしろ“標準化”するのが当たり前だと考えています。
そのため当クリニックではナイロン製の安価な縫合糸は一切使用しません。またお客様の目元の状況によって「アスフレックスが合わない」と判断した場合も、ポリプロピレン製のハイグレード糸をご用意していますのでご安心ください。
埋没法の費用についても「どんな施術を行うから、どの値段なのか?」まで確認できるとベストですね!
【院長が解説】埋没二重の「適正料金」は?安すぎる・高すぎるの”罠”を教えます!
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【結論】スペック比較表で見る後悔しない糸選びのポイント
これまで解説してきた3種類の糸のスペックを、一覧表にまとめました。
項目 | ナイロン糸 | ポリプロピレン糸 | アスフレックス糸 |
---|---|---|---|
耐久性(緩みにくさ) | △ | ○ | ◎ |
柔軟性(バレにくさ) | △ | ○ | ◎ |
安全性(生体適合性) | ○ | ◎ | ◎ |
料金 | 安 | 高 | 高 |
この表からわかるように、どの糸にも一長一短があります。後悔しない糸選びのためには、あなたが何を最も重視するのか、その基準を明確にすることが重要です。
- 費用を最優先するなら、ナイロン糸。
- 費用と持続性のバランスを取りたいなら、ポリプロピレン糸。
- 多少費用がかかっても、持続性と美しさを徹底的に追求したいなら、アスフレックス糸。
これが、現時点での糸選びの基本的な考え方になるでしょう。
03当クリニックがなぜ「糸」にまでこだわるのか?
ここまで客観的な比較を行ってきましたが、ここからは少しだけ、私たち自身の想をお伝えさせてください。
上でも少しお話ししたように、当院では埋没法の施術において、原則としてアスフレックス糸(または同等の性能を持つポリプロピレン糸)を使用し、ナイロン糸は採用していません。それは、私たちが目指しているのが、単に一時的な二重ラインを作ることではなく、「お客様に生涯レベルで満足いただける結果を提供する」ことだからです。
末永い「可愛い・美しい」を叶えたいから
埋没法の「失敗」には、医師の技術でカバーできる部分と、そうでない部分があります。
糸の経年劣化による緩みや断裂は、まさに後者であり、どんな名医でも素材自体の寿命を延ばすことはできません。
だからこそ私たちは、「失敗の可能性を限りなくゼロに近づける」ために、糸という素材に徹底的にこだわります。「お客様に後悔してほしくない」という一心で、耐久性・安全性・美しさのすべてにおいて最高品質であるアスフレックス糸を選択しているのです。それは、短期的な価格以上の「長期的な安心」という価値を提供したい、という私たちの覚悟でもあります。
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価格ではなく「術後の安心」を叶えたいから
美容医療、特に埋没法は、価格競争が激しい分野です。しかし、私たちは価格競争には加わりません。
なぜなら、価格を下げるために素材の質を落とせば、数年後に糸がたるんでしまい、結果的にお客様が再手術の費用や身体的な負担を強いられることになりかねないからです。私たちは、「安かろう悪かろう」で後悔するお客様を一人でも減らしたいのです。
04アスフレックスに関するよくある質問
最後に、アスフレックス糸のような高品質な糸について、お客様からよくいただく質問にお答えします。
① MRIやCT検査に影響はない?レントゲンに映る?
埋没法で使う糸は、いずれも金属ではない極細の樹脂製のため、レントゲンに写ることはありません。また、CTやMRIといった検査の際にも、磁気に影響したり結果を乱したりすることはありませんので、問題なく受けていただけます。
② アレルギー反応が起きる可能性は?
可能性はゼロではありませんが、極めて稀(ほぼゼロ)と考えていただいてOKです。当院でもこれまで1万件以上の二重手術を行ってきましたが、糸によるアレルギー反応が断定されたケースはありません。
特にアスフレックス糸は、医療用素材の中でも特に生体適合性が高く、アレルギーや炎症といった異物反応のリスクは最小限に抑えられています。もしご心配な方は、カウンセリング時にご相談ください。
③ 眼科の検診や手術のときは申告すべき?
基本的には、申告していただくことをお勧めします。
埋没糸が眼科の検査や処置の妨げになることはありませんが、「まぶたに糸が入っている」という情報を医師が事前に把握しておくことで、より安心して診察や処置を進めることができますので。
05末長く可愛い埋没法は「糸」で決まる!
今回は、二重埋没法における「糸」の違い、特に最高品質の「アスフレックス糸」について詳しく解説しました。
大切なのは、「あなたが何を最も重視するか」という価値基準です。これからはクリニックや手術方法を選ぶ際に、ぜひ「どんな糸が使われているか」という視点も判断材料に加えてみてください。そうすることで、あなたが本当に信頼できる、後悔のない選択ができるようになるはずです。
もし、糸選びやクリニック選びで迷われたら、ぜひ一度私たちにご相談ください。あなたの理想の二重を実現するために、最適なご提案をさせていただきます!
この記事を書いた人

井上礎馬(PEGASUS CLINIC院長)
内科・泌尿器科と初期研修を含め勤務し、自ら美容診療を学ぶ。 その後業界最大手クリニックで7年間院長を務め、美容皮膚科・外科診療についても学んだ後、PEGASUS CLINICを開院。 「日本美容外科学会」「日本内科学会」「日本美容外科学会正会員」など全7つの所属学会認定医。