【シワの基礎知識】紫外線でしわができる理由は「日焼け止め」にある!?光老化のしくみを院長が解説!
「日焼け止め、ちゃんと塗っているつもりなのに、なんでしわが増えてくるんだろう…」 そんなことを感じたことはありませんか? あるいは「もうUVAダメージが積み重なってしまった。今さら対策してもどうにもならないのかな」と思っている方もいるかもしれません。 実は、日焼け止めとしわの関係には、多くの方が気づいていない"すれ違い"があります。日焼け止めは、これ以上のUVAダメージが積み重ならないようにするための道具です。一方で、すでに肌の深い層で起きたコラーゲンの変化を元に戻すことはできません。「防ぐ」ことと「改善する」ことは、別のアプローチが必要です。 今回は紫外線(特にUVA)による「光老化」のしくみから日焼け止めの正しい使い方、クリニックで選べる改善の選択肢まで解説します。 この記事でわかること 肌老化の約80%が紫外線(光老化)由来の仕組みと理由 しわ対策で見るべきSPFとPAの正しい選び方 光老化によるしわがスキンケアだけでは改善しない理由 紫外線ダメージによるしわへのクリニック施術の選択肢 01なぜ紫外線がしわの原因になる?光老化のしくみ 「しわって、年をとれば仕方ないもの」と思っていませんか? 実は、肌老化症状の約80%は紫外線が原因であることが、環境省の研究でわかっています。「加齢のせい」と思っていた肌の変化の多くは、紫外線ダメージの蓄積なんです。 この「光老化」と呼ばれるダメージは、毎日少しずつ静かに積み重なっていきます。20代・30代のころに「日焼け止めを塗らずに過ごした日」が、10年・20年後に目元や口元のしわとして現れてくる、それが光老化の特徴です。 UVAは真皮(皮膚の奥にある土台の層)に届き、コラーゲンやエラスチンを内側から変性させていきます。 この過程が「しわが増えた気がする」という実感の根っこにあります。 UVAとUVBの違い:しわを作るのはどちら? 紫外線には、大きく分けてUVAとUVBの2種類があります。「日焼け」を引き起こすのはUVBですが、しわの要因となるはUVA(波長320〜400nm)です。 「しわの原因はUVBによる日焼けだと思っていた」という方が多いのですが、実はUVAのほうです。 UVA UVB 肌への到達深度 真皮層まで届く 主に表皮にとどまる 主な影響 コラーゲン破壊・しわ形成 日焼け・赤み 季節変動 少ない(冬でも夏の約半分) 大きい(夏に集中) 窓ガラス透過 する しない(ほぼ) 地表への量 UVBの40〜60倍 ― 年中・室内でも届き続けるUVAの蓄積こそが光老化の原因。これを知っておくことが、対策を考えるうえでの大前提になります。 コラーゲンが「つくられず・壊される」2つの仕組み 真皮(皮膚の奥にある土台の層)には、コラーゲンとエラスチンというたんぱく質が張り巡らされていて、肌のハリと弾力を保っています。UVAはこの層に直接届き、2つの方向から同時にダメージを与えます。 1つ目は、コラーゲンが新しく作れなくなることです。UVAを浴びると細胞内に活性酸素(体内で発生する酸化物質)が大量に発生します。これが、コラーゲンを作る役割をもつ「線維芽細胞」を傷つけ、新しいコラーゲンを補充する力を弱めてしまいます。 2つ目は、今あるコラーゲンが壊されるスピードが上がることです。肌の中には、古いコラーゲンを新しいものに入れ替えるための酵素(MMP)があります。本来は傷んだものだけを分解する役割ですが、紫外線の刺激を受けると制御が乱れ、まだ健康なコラーゲンやエラスチンまで壊してしまいます。 「作れない」と「壊れる」が同時に進むため、10〜20年かけてコラーゲンが少しずつ失われ、しわとして表に出てきます。 「夏だけ」「屋外だけ」では足りない!UVAが年中・室内でも届く理由 「夏の外出時だけ対策すれば大丈夫」と思っている方も多いのではないでしょうか。でも、しわを作るUVAという観点では、これは少し違うんです。 まず大前提、UVAは窓ガラスを透過します。1枚の通常窓ガラスでも60〜70%が室内に入るため、窓際のデスクで仕事をしている方は、意識していなくてもUVAを浴び続けている状態。オフィスや車内でも同様で、薄いカーテンでも防ぎきれません。 また薄い雲がかかった状態でもUVAは80%以上届き、雨の日でもゼロにはなりません。冬でも夏の半分の量が届いているため、「今日は曇りだから」「冬だから」という日の積み重ねが、長年の光老化を進める原因になります。 また近年、UVAの中でも特に波長の長い「ロングUVA(UV-A1)」という種類への研究が進んでいます。UVA全体の約75%を占め、従来の日焼け止めでは防ぎきれない波長域を含むとされています。ブルーライトについても皮膚への影響の可能性が指摘されており、現在も研究が続いている分野です。 「室内にいるから大丈夫」は、残念ながら成り立たない。こうした性質があるからこそ、通年での対策に意味があるんです。 02【院長コラム】日焼け止めはどう選んでどう使えばいい? 「高スペックを選んだのに、どうにも肌に合わない」「毎日塗っているのに肌荒れが続く」という方、実は選び方か使い方のどちらかにズレがあることがほとんどなんです。 日焼け止めは、数値が高ければ安心というものではないんですね。肌状態・塗る量・落とし方まで全部そろって、はじめて本来の力を発揮します。 「高PA=安心」という思い込みに注意 日焼け止めのパッケージに表示されている「SPF」と「PA」は、それぞれ別のことを示しています。 SPF:UVBを遮断する強さの指標(日焼け・赤みを防ぐための指標) PA:UVAを遮断する強さの指標(+〜++++の4段階) しわ対策でまず確認したいのはPAです。 しわを作るのはUVAなので、UVA防御力を示すPAが軸になります。私自身は、日常使いにSPF50/PA++++を推奨しています。光老化を通年で積極的に防ぐには、高いUVA防御力を日常から選ぶことが重要という考え方です。 ただし、これには大切な前提があります。 PA++++など高PA製品の成分は分子が大きいため、乾燥した状態の素肌に直接塗ると、接触皮膚炎(塗った部位が赤くなったり、かゆみが出たりする炎症反応)を起こすリスクがあります。市販の安価な製品には保湿剤が入っていないものも多く、乾燥素肌に高分子成分を重ねることで、炎症が慢性化するケースもあります。 「毎日の水分・保湿ケアがあってこそ、SPF50/PA++++が正しく機能する」というのが、私が普段から実践している考え方です。高スペックを選ぶことは正しいのですが、それを活かせる肌状態が前提にある、ということですね。 なお、当院では自身も使用しているゼオスキン(クリニック物販の日焼け止め)を取り扱っています。製品選びで迷っている方はお気軽にご相談ください。 “少量塗り”がある限り、どんな高SPFも効果は半減する 「SPF50のものを選んだから大丈夫」と思っている方に知っておいてほしいことがあります。 日焼け止めの性能(SPF値・PA値)は、1cm²あたり2mgを塗った状態で測定されています(日本皮膚科学会)。ところが実際に多くの人が塗っている量は約1.3mg/cm²程度で、必要量の2/3しか塗れていないことになります。この量では、効果は半分くらいまで低下してしまうというデータがあります(日本皮膚科学会)。 さらに環境省の資料によると、規定量の1/4(0.5mg/cm²)しか使わない場合、SPF16の日焼け止めがSPF2相当まで落ちてしまうとも報告されています。「高いものを選んだのに効果がない」と感じる方の多くは、量が足りていない可能性が高いです。顔全体に使う目安は「真珠の玉2個分くらい」が一般的な基準です。 また、汗や皮脂・顔を触る動作で日焼け止めは思っている以上に落ちるため、2〜3時間おきの塗り直しも欠かせません。「塗ればOK」ではなく、「適量を使い、2〜3時間ごとに塗り直し、帰宅後にしっかり落とす」この3つがそろって、はじめて日焼け止めは本来の力を発揮します。 毎日使うなら、クレンジングと保湿までセットが必要な理由 毎日の日焼け止め使用は、私も積極的に推奨しています。通年で続けることが理にかなっているからです。 ただし、「毎日使い続ける」ためには順番が大切です。高分子の日焼け止めは、しっかりクレンジングしないと肌に残留します。落とし切れていない状態でまた塗ることを繰り返すと、炎症が慢性化し、肌の状態が悪化することがあります(日本皮膚科学会「最近の製品には落ちにくいものがあり、夜にはきちんと専用のクレンジングなどで洗い落とすことが大切」)。 私のルーティンはこうです。 朝:保湿 → 日焼け止め 帰宅後:クレンジング → 洗顔 → 保湿 「毎日塗っているから大丈夫」と思っていても、クレンジングと保湿のセットが伴っていないと、長期的には肌の調子を崩す原因になりえます。 03光老化によるしわが、スキンケアだけでは改善しない理由 日焼け止めは「これ以上UVAの影響が積み重ならないようにする」道具です。今から正しく使えば新たなダメージは大きく減らせます。 ただ、すでに真皮で起きたコラーゲン・エラスチンへの変化を元に戻す力はありません。「予防」と「改善」は、そもそも別の問題です。真皮のコラーゲンが長年かけて分解・変性すると、肌が自力でコラーゲンを作り直す力そのものが失われていきます。「指で軽く引き伸ばしても消えないしわ」がある状態は、すでにこのフェーズに入っているサインです。 この段階になると、スキンケアだけで戻すことは難しくなります。 環境省の資料にも「光老化は防ぐことができる皮膚の老化症状」と書かれているように、今からでも予防のケアを続けることには意味があります。 ただ同時に、すでに気になるしわがある場合には、「防ぐ」ではなく「直す」という別の選択肢があることも、知っておいてほしいのです。UVAの蓄積は、気づかないうちに少しずつ進みます。「しわが以前より気になってきた」と感じ始めたとき、それが改善を検討するひとつのサインかもしれません。次のセクションでは、そんな状態への選択肢をご紹介します。 04 紫外線によるしわはクリニックで改善できる? 「改善を考えたとき、クリニックというとハードルが高そう……」と感じる方も多いのではないでしょうか。 実は、まず試しやすい入口の施術から、より本格的な治療まで、状態に合わせた選択肢があります。 まず試せる施術:肌の土台を整える3つのアプローチ 「クリニック=ボトックスやヒアルロン酸のような大きな施術」というイメージをお持ちの方も多いですが、紫外線ダメージによる肌質低下(乾燥・くすみ・細かい小じわ)には、まず肌の土台を整える入口施術があります。 施術名 こんな悩みに 期待できる変化 ダウンタイム 肌育注射(スキンバイブ) 乾燥・ハリのなさ・細かい小じわ ヒアルロン酸を真皮に直接届けてふっくら感・水分量が改善 軽い腫れ・内出血:数日程度 エレクトロポレーション(デルマシオ) 注射への抵抗・くすみ・乾燥ケア 針を使わず保湿成分を細胞内へ届ける「細胞内保湿」 一時的な赤み:数時間 オルチャン点滴 日焼け後のリカバリー・くすみ 紫外線で消費された抗酸化成分(ビタミン類)を点滴で補充 点滴部位の一時的な違和感 「細かい小じわが増えた」「乾燥がひどくなった」という段階であれば、まず肌育注射(スキンバイブ)が選ばれることが多いです。注射に抵抗がある方には、針を使わないエレクトロポレーションがひとつの入口になります。 「日焼けのあと肌の回復が遅くなった」「なんとなくくすんで見える」という方には、オルチャン点滴でビタミン補充から始めるケースも多くあります。 しわをさらに改善したい場合:ヒアルロン酸・ボトックスという選択肢 長年の紫外線ダメージが積み重なり、深く刻まれたしわには、ヒアルロン酸やボトックスが選択肢になります。 ヒアルロン酸注射 ボトックス注射 向いているしわ ほうれい線・目元など深さのあるしわ 額の横じわ・眉間など表情で刻まれるしわ 仕組み しわの溝にヒアルロン酸を注入してボリューム補充 表情筋の緊張をゆるめてしわを目立ちにくくする 主なリスク 腫れ・内出血:数日〜1週間程度 腫れ・赤み:数日程度 判断の目安は「しわのタイプ」です。指で軽く引き伸ばすと薄くなるしわ(深さのあるもの)はヒアルロン酸、表情を作ったときだけ出るしわはボトックスが向いています。「どちらかわからない」という方がほとんどで、カウンセリングでしわの状態を確認してから選んでいただくことが多いです。 「まず話だけ聞いてみたい」という方のご来院も歓迎しています。しわの状態・種類・原因を確認した上で、一人ひとりに合った選択肢をご提案します。 00 紫外線のしわ、「防ぐ」と「直す」でクリニックに相談する UVAによる光老化は、気づかないうちに長年かけて真皮に変化を積み重ねます。日焼け止めで新たなダメージを大きく減らすことはできますが、すでに起きた変化を戻す力はありません。紫外線対策を続けていても、過去に蓄積したUVAダメージは残ります。これは個人の努力の問題ではなく、予防と改善がそもそも別の問題だからです。 この記事のポイント 肌老化の約80%は紫外線(光老化)が関係している UVAは冬でも室内でも届き、蓄積型のしわを作る 高PA製品は毎日の保湿ケアとセットで選ぶのが前提 日焼け止めは適量(顔:真珠の玉2個分)で効果が変わる スキンケアだけでは改善が難しい既存のしわには、クリニックの施術が選択肢 日焼け止めで光老化ダメージを減らすには、SPF50/PA++++を保湿ケアとセットで選び、適量を2〜3時間ごとに塗り直すことが大切です。 ただ、すでに気になるしわには、日焼け止めだけでは変化を戻すことができません。クリニックの施術(肌育注射・ヒアルロン酸・ボトックスなど)が、「直す」ための選択肢になります。当院では、状態に合わせて肌育注射(スキンバイブ)・エレクトロポレーションから、ヒアルロン酸・ボトックスまでご案内しています。 まずはお気軽にご相談ください。